• 2026年5月6日

腎盂・尿管がんについて

腎臓は、尿を作る「腎実質」と、尿をためる腎盂(じんう)で構成されています。「腎盂」は「尿管」へつながり、尿は腎盂から尿管を通って「膀胱」へ運ばれ、膀胱にたまった尿は、排尿時に「尿道」を通って体外へ排出されます。簡潔にいうと、尿は腎実質で作られ、腎盂→尿管→膀胱→尿道を通って体外へ排出されます。このうち腎盂・尿管・膀胱の内側は「尿路上皮」という同じ粘膜で覆われており、ここにできるがんを『尿路上皮がん』といいます。発生部位によって腎盂がん・尿管がん・膀胱がんと呼ばれますが、いずれも同じ性質のがんです。特に腎盂と尿管は区別が曖昧なため、まとめて『腎盂・尿管がん』や『上部尿路上皮がん』と呼ばれます。いっぽう、尿管と膀胱は境界がはっきりしており治療法も異なるため、『膀胱がん」と「腎盂・尿管がん」は別の病気として扱われます。ただし、どちらも同じ尿路上皮から発生するため、腎盂尿管がんの治療後に膀胱がんが、またその逆が起こることもあり、注意が必要です。また、同じ腎臓でも腎実質と腎盂は性質が異なるため、「腎細胞がん」と「腎盂がん」は全く別のがんとなります。がんは腎臓にできるものの、性質は膀胱がんに近い特徴を持っています。

<症状>

腎盂尿管がんは、膀胱がんと同様に「痛みのない血尿(無症候性肉眼的血尿)」で見つかることが多く、検診の尿潜血がきっかけとなることもあります。注意すべき点は、血尿が一時的に自然に消えることがあることです。一方、結石や膀胱炎では痛みなどの症状を伴うことが多いのが特徴です。痛みのない血尿が出た場合は、たとえ一度おさまっても腎盂尿管がんの可能性もあるため、必ず泌尿器科を受診しましょう!

無症候性血尿を放置した結果で、腎盂尿管がんが進行すると、がんは深く広がり、周囲の組織へ浸潤します。尿管がんは壁の外へ広がりやすく、腎盂がんは腎実質へ浸潤します。さらに血液やリンパを通じて、リンパ節や肺、肝臓、骨へ転移します。進行すると、腰痛や足のむくみなどの症状が現れることがあります。

<検査・診断>

① 尿検査:尿潜血(顕微鏡的血尿)の有無を確認。

数日前に血尿が見られたものの現在は止まっている場合でも、「腎盂・尿管がん」では、尿を顕微鏡で検査すると目で見ても分からない程度の血尿(顕微鏡的血尿)が持続していることが多くありますの注意が必要です!
② 尿細胞診:尿中のがん細胞の有無を調べる。

尿細胞診は、通常の尿検査で提出した尿の一部を用いて行えるため、身体的負担の少ない検査です。悪性と判定された場合は腎盂・尿管がんの可能性が高くなりますが、良性と出てもがんを完全には否定できないため、補助的な検査として位置づけられます。


③ 腹部超音波検査(エコー):腎臓や膀胱の腫瘍や水腎症の有無を確認します。

腎盂尿管がんが大きくなると尿管が詰まり、尿が流れにくくなって腎盂が腫れます。これを「水腎症」といい、その際は左右どちらかの腰に痛みが出ることがあります。

④ 造影CT:腫瘍の広がりやリンパ節・遠隔転移を評価することできます。

上記①〜④のみでは確定診断できることは少なく、追加検査が必要となる場合があります。必要に応じて、入院加療で検査を行います。

⑤ 逆行性腎盂尿管造影

逆行性腎盂尿管造影は、膀胱鏡で膀胱内を観察しながら、尿管の開口部に細いカテーテルを挿入し、造影剤を注入して行う検査です。腫瘍部位はレントゲンで陰影として描出され、同時に腫瘍近傍で採取した尿の「カテーテル尿細胞診」で悪性が確認されれば、腎盂・尿管がんの診断に至ります。

⑥ 腎盂尿管鏡検査

尿道から膀胱、尿管、腎盂へと細径の尿管鏡を進め、腫瘍を直接観察し、場合によっては組織を直接採取して病理検査(顕微鏡検査)を行います。その結果、悪性と診断されれば腎盂・尿管がんが確定します。尿管鏡検査に関しては、痛みを伴うことが多いため下半身麻酔(腰椎麻酔)をしっかりかけておくことが必要なため、麻酔の影響もあり入院加療が必要になります。

<治療>

◇ 転移(-)の場合

腎盂・尿管がんでは、腎臓・尿管・膀胱の一部(尿管口周囲)を切除する腎尿管全摘術を行います。以前は腹腔鏡手術メインの術式で行われておりましが、近年ではロボット支援手術で行っている施設が増えてきております。術後は約5割で膀胱がんが発生するため、尿の流れにより腫瘍細胞が膀胱へ移ることが一因と考えられています。再発確認のため、3カ月ごとに膀胱鏡検査を行い、膀胱内に再発を認めた場合は経尿道的膀胱腫瘍切除術を行います。

◆ 転移(+)の場合

リンパ節や骨などへの転移がある場合は、シスプラチン・ゲムシタビンなどの抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬による全身治療を行います。表在がんでは5年生存率は80%以上、進行がんでは約30%とされ、転移例では予後は不良です。

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