- 2026年5月6日
腎がんについて
腎臓は左右の腰のあたりにある握りこぶし大の臓器で、血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、尿を作る働きをしています。腎臓のうち尿をつくる部分を「腎実質」、できた尿を集めてためる部分を「腎盂」といいます。腎細胞がんは、この腎実質に発生するがんで、腎臓にできるがんの約90%を占めます。一方、腎盂にできるがんは『腎盂がん』と呼ばれ、性質的には膀胱がんや尿管がんとほぼ同じで尿路上皮がんと呼ばれています。「腎がん」という場合は、通常この腎盂がんは含まず、腎細胞がんを指すことが一般的です。
腎細胞がんは近年増加しており、泌尿器科がんの中では前立腺がん、膀胱がんに次いで3番目に多いとされています。男性に多く、女性の約2倍程度で、年齢は40〜70歳代に多く、特に60歳前後での発症が目立ちますが、若年で発症することもまれにあります。
主な危険因子としては、喫煙、肥満、高血圧、慢性腎疾患などが知られています。特に喫煙は明確なリスク因子であり、約2倍程度発症リスクを高めるとされています。また、長期間透析を受けている方でも発症リスクが高いとされています。
<症状>
腎細胞がんは腎実質に発生するがんで、初期にはほとんど症状がありません。腎臓は体の奥の後腹膜腔という空間にあるため、気づかないうちにゆっくりと増大していきます。以前は、腫瘍がかなり大きくなってから腹部から触れて気づいたり、背部痛や血尿をきっかけに発見されることが多く見られました。また、発熱、体重減少、貧血などの全身症状を伴うこともあります。さらに進行すると、肺・骨・肝臓・リンパ節などに転移し、咳や骨の痛み、骨折、むくみなどの症状を通じて診断されるケースもありました。
このように、かつては腎細胞がんは進行してから見つかることが多く、治療しても根治が難しいがんの一つでした。しかしここ10~20年で状況は大きく変わり、手術や薬物療法の進歩に加え、検診や画像検査の普及により「症状のない偶発腫瘍」として早期発見が増えたことで、治療成績は大きく改善し、治る可能性の高いがんとなっています。
<検査>
腎細胞がんの診断には、尿検査、血液検査、腹部超音波検査(エコー)、造影CT、MRIなどが行われ、必要に応じて生検や骨シンチ、PET検査も追加されることがあります。
尿検査では血尿の有無などを確認し、血液検査では貧血や腎機能低下の有無を評価します。
<治療>
腎がんは放射線療法や従来の抗がん剤の効果が乏しく、治療の中心は手術となります。
◇ 転移のない早期腎がんでは手術が基本で、7cm以下の腫瘍では腎機能を温存する腎部分切除術が選択されます。近年はロボット支援手術がメインとなり、ロボット支援下腎部分切除術(Robot-assisted partial nephrectomy;RAPN)という手術が広く行われています。
腎部分切除術に関しては、私自身も勤務医時代に腹腔鏡やロボット手術などで経験させていただきましたが、大きさよりも腎臓のどの部位に腫瘍があるかで難易度が大幅に変わる手術となります。大きながんであっても手術しやすい場所であるならやりやすい時もありましたし、小さながんであっても手術しにくい場所であれば難渋するときもありました。いずれにせよ、進行性以外の腎がんに関しては部分切除術が主流になってきております。治療方針や適応など分からないこと、お困りごとがあれば、当院にご相談していただければ幸いです!特に、手術が必要な方は提携先の高次医療機関などにも適切かつ迅速にご紹介させいただきますので、よろしくお願いします。
◆ 転移を伴う進行性腎がんには分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬が用いられ、腫瘍の増殖抑制や免疫活性化により治療効果を発揮します。これらの薬剤の進歩により、転移性腎がんの治療成績は大きく改善し、長期生存や病気との共存が可能となってきています。