- 2026年4月16日
尿がいつも違う
尿がいつもと違う(色・泡立ち・におい)でわかる体のサイン
尿は体の状態を反映する大切なサインです!
『⑴ 色が違う』、『⑵ 泡立ち』、『⑶ においが強い』といった変化には、多くは水分量や食事の影響ですが、心配のいらないものから病気(血尿・肝臓病・腎臓病・糖尿病など)が隠れている場合までありますので、それぞれの特徴を説明させいただきます。
①『尿の色が違う』
健康な人の尿は、透明〜薄い黄色をしています。この色は、尿に含まれる「ウロビリン」という色素によるものです。体内でつくられたウロビリノーゲン(無色)が腎臓で酸化され、褐色のウロビリンに変化することで、尿は黄色く見えます。
なお、ウロビリノーゲンは空気に触れると酸化しやすいため、採尿後に尿を放置すると、次第に色が濃く(褐色に)変わることがあります。
これは自然な変化であり、必ずしも異常を意味するものではありません。
■ 濃い黄色
脱水で体内の水分が少なくなると、尿中の水分が減り、色素(ウロビリン)の濃度が高くなるため、尿の色が濃くなります。これは、体が水分を保とうとして腎臓が適切に働いている証拠でもあります。
この場合は、早めの水分補給を心がけましょう。
■ 無色透明
大量に水分を摂取すると、尿中の水分が増え、色素が薄まるため、尿は無色透明に近くなります。また、ビールなどのアルコール飲料も利尿作用があるため、一時的に透明な尿になります。通常は心配ありませんが、透明な尿が続き、のどの渇きや多尿がある場合は糖尿病の可能性があります。血糖値が高いと、糖を排出しようとして水分も一緒に大量に尿へ出るため、尿が薄くなります。
■ 青〜紫色
長期尿道カテーテルが留置されている方で、採尿バッグが青紫色に染まることがあります。これは『紫色採尿バッグ症候群(Purple Urine Bag Syndrome)』と呼ばれています。尿路感染と慢性便秘が重なり、尿中の色素(インジカン)が細菌分解されてインジコブルー(青)とインジルビン(赤)に変化し紫の色素がバッグに付着する現象です。長期寝たきりのご高齢の女性患者さま、尿道カテーテル交換が長期行われていない場合にたまに見かけることがあります。
尿そのものは通常の黄色であり病気ではないですが、排便や感染管理を見直すきっかけとなる現象です。
■ 赤色(血尿)
尿が赤い場合は、血液が混じっている「血尿」の可能性があります。
目で見てわかる血尿は「淡いピンク色」、「鮮やかな赤色」、「深い赤色」、「褐色」とさまざまですが、尿の色が濃い=重症、薄い=軽症というわけではありません。
原因には、
- 尿路感染症
- 尿路結石症
- 泌尿器がん
などがあります。
血尿に気づいたら、痛みがなくても必ず受診してください!
■ 茶褐色(茶色)
- 肝臓の病気(ビリルビン尿)
黄疸があると、血液中のビリルビンが増え、尿が茶褐色になることがあります。
目や皮膚が黄色くなっている場合は、早めに受診が必要です。
ビリルビン尿は泡立ちやすく、その泡にも色がつくのが特徴です。
- 激しい運動後(ミオグロビン尿)
激しい運動や外傷で筋肉が壊れると、ミオグロビンという物質が尿に混じり、赤ワインのような色になることがあります。
筋肉痛を伴う場合は横紋筋融解症の可能性があり注意が必要です。
■ 褐色~黒色
特定の薬剤で尿が黒くなることがあります。
- 血圧降下薬(αメチルドパ)
- 細菌性膣症、アメーバ赤痢の抗生剤(メトロニダゾール)
- パーキンソン病治療薬(レボドパ製剤)など
薬の影響であれば心配はいりませんが、気になる場合は医師にご相談ください。
■ 白色(乳白色)
尿が牛乳のように白くなる場合があります。
- 尿路感染症
膀胱炎などで白血球が増えると、尿が白く濁ります。
排尿時痛や頻尿を伴うことが多いです。
- 乳び(糜)尿
リンパ液(乳び)が尿に混じることで乳白色になり、リンパの流れが障害されることで起こります。脂肪分の多い食事で白さが強くなるのが特徴です。
■オレンジ色
これは、にんじんやかぼちゃなどに多く含まれるβカロテンの影響によることがあります。また、総合ビタミン剤やサプリメント(特にビタミンB2・ビタミンCなど)を服用している場合も、尿が黄色~オレンジ色に濃くなることがあります。また、特定のお薬(結核薬、一部の便秘薬など)を飲んでいる場合、お薬そのものの色でオレンジ色になることもあります。これらは体内で代謝された成分が尿中に排泄されるために起こる変化で、ほとんどの場合は心配ありません。
『尿が泡立つ』
尿が泡立つと心配になりよく聞かれることも多いですが、一時的な生理的な原因と病気が隠れている場合の両方があり、治療が必要なケースもあります。気になる症状が続く場合は、当院での尿検査をおすすめします。
尿が泡立つ原因として、代表的な物質として『タンパク質』が挙げられます。尿中のタンパクは石鹸のような界面活性作用を持つために尿の泡立ちが起こります。そのほかの原因としては、まず「 脱水などで尿が濃くなること」が挙げられます。尿が濃縮されると、表面張力の変化により泡が立ちやすくなります。
また、「膀胱炎」などの尿路感染症で尿が濁っている場合も、泡立ちが目立つことがあります。さらに、肝機能が低下して「黄疸」を伴う場合には、ビリルビン→ウロビリノーゲンが尿中に排泄される(尿中ウロビリノーゲンの増加)ことで泡が出やすくなります。そのほか、大腸憩室炎や子宮がんの放射線治療後などが原因で「膀胱腸瘻(ぼうこうちょうろう)」を生じることがあります。この場合、腸管内のガスや内容物が膀胱内に入り込み、尿に混ざることで泡立ちが強くなることがあります。
以下に泡立つ原因を紹介していきます。
≪尿が泡立つ主な原因≫
① 健康的な泡立ち(尿が濃い場合)
最も多い原因は脱水による尿の濃縮です。
水分が不足すると、尿中の成分濃度が高くなり、泡立ちやすくなります。
特に、
- 朝一番の尿
- 運動後や発汗後
は泡立ちやすい傾向があります。
脱水状態になると、体内の水分が不足し、尿に排出されるさまざまな物質の濃度が高くなります。その一つが『ウロビリノーゲン』です。ウロビリノーゲンは、肝臓でつくられた胆汁中のビリルビンが腸内で代謝されて生じる物質で、通常でも少量が尿中に含まれています。尿検査で簡単に測定でき、一般的な基準値は(±)です。
ウロビリノーゲンには界面活性作用があるため、脱水によって尿が濃縮されると泡立ちやすくなります。また、このような濃縮尿の場合には、アンモニアのようなにおいを感じることも少なくありません。
この場合は水分補給で改善することがほとんどのため、そこまで心配はいりません。
② 尿路感染症
腎盂・膀胱・前立腺などに細菌が感染すると起こります。
- 男性:尿道炎、急性細菌性前立腺炎
- 女性:膀胱炎
細菌の作用で尿素がアンモニアに分解され、
- 尿のにおいが強くなる
- 粘膜からたんぱくが漏れる
- 尿がアルカリ性になる
といった変化が起こり、泡立つことがあります。
③ 糖尿病
血糖値が高くなると、腎臓で糖を再吸収しきれず尿糖陽性になります。尿中に糖が出ると粘り気が増し、泡立ちやすくなります。さらに糖尿病性腎症を合併すると、タンパク尿も加わり、泡が持続しやすくなります。
④ タンパク尿(腎炎・ネフローゼなど)
腎臓の糸球体は血液をろ過するフィルターです。
通常、分子の大きい『タンパク質』は尿に出ません。
しかし、
- 糸球体腎炎
- ネフローゼ症候群
- 糖尿病性腎症
- 高血圧性腎症(腎硬化症)
などではフィルターが傷み、タンパクが尿中に漏れ出します。
タンパク質は界面活性作用をもつため、細かい泡が長時間消えにくいのが特徴です。
※一時的に正常な方でも尿たんぱくが出ることはあります。
⑤ 黄疸(肝機能障害)
黄疸とは、血液中のビリルビンが増え、皮膚や白目が黄色くなる状態です。
「ビリルビン」は腸内で『ウロビリノーゲン』に分解され、その一部は再び肝臓へ戻ります(腸肝循環)。
肝機能が低下すると、
- ウロビリノーゲンが増加
- 尿中ウロビリノーゲン上昇
が起こり、泡立ちやすくなります。
⑥ 膀胱腸瘻
大腸の壁の一部に、袋状に外へ飛び出した小さな構造ができることがあり、これを「大腸憩室」といいます。多くは無症状ですが、ここに炎症が起こると「大腸憩室炎」となり、虫垂炎(いわゆる盲腸)のような腹痛や発熱などを伴います。
この「大腸憩室炎」が重症化したり、炎症を繰り返して慢性化したりすると、炎症が隣接する膀胱の壁にまで及ぶことがあります。その結果、大腸と膀胱のあいだに交通(穴)が生じ、両者がつながってしまう状態を「膀胱腸瘻(ぼうこうちょうろう)」といいます。また、子宮がんなどの治療で骨盤内に放射線照射を行った場合にも、数年を経て合併症として膀胱腸瘻を形成することがあります。膀胱腸瘻になると、腸の内容物が膀胱内へ流入するため、尿に便が混じることがあります。便にはビリルビンやウロビリノーゲンが含まれているため、尿が泡立ちやすくなります。さらに、腸管内のガスも膀胱に入り込むため、「尿が泡立つ」というよりも、「泡を含んだ尿が出てくる」という表現が近い状態になります。
『尿のにおいが強い』
おしっこのにおいの主な原因は、細菌が尿中の「尿素」を分解して生じる『アンモニア』です。通常でもわずかなアンモニア臭はありますが、においが強い場合には注意が必要です。特に、膀胱炎などの尿路感染症や、膀胱がんが隠れている可能性もあります。においがきつい、濁りや痛み、血尿を伴うといった症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。また、糖尿病が重症化すると尿は果物が熟れすぎた時のような甘酸っぱいにおいを帯びることがあります。一方で、コーヒーやビタミン剤の服用後、ニンニクを食べた後などに尿のにおいが変わることがありますが、これは成分が体内に吸収されて尿中に排泄されるためで、通常は心配いりません。
以下に尿のにおいの原因を紹介します。
①脱水→大きな問題ではない
腎臓は、いわば体内の「高性能な濾過装置」です。1日に約150L、ドラム缶1本分にも相当する血液をろ過し、尿のもととなる「原尿」をつくっています。
しかし、そのうち約99%は体内に再吸収されるため、実際に排泄される尿の量は1日およそ1.5L程度になります。
水分摂取が極端に少ない場合や、下痢・出血などで体内の水分が失われると、脱水状態になります。すると腎臓は体内の水分不足を感知し、原尿から再吸収する水分量をさらに増やして、尿量を減らそうとします。
ただし、尿中に排泄される老廃物そのものの量は大きく変わりません。
そのため、尿の量が減って濃縮されると、老廃物の濃度が高くなり、感染がなくても尿のにおいが強くなることがあります。朝一番の尿や、汗をたくさんかいた後の尿がにおいやすいのは、このためで十分な水分摂取で改善します。
②尿路感染症(膀胱炎など)
健康な人の尿は、腎臓から排出される時点ではほぼ無菌・無臭です。
しかし細菌が侵入すると、尿素が分解されてアンモニアが発生し、においが強くなります。特に膀胱炎では細菌が増殖し、強いアンモニア臭を伴います。
「においがきつい」ことだけがきっかけで発見されるケースもあります。
通常は抗生剤で治療します。
③慢性化した感染と膀胱結石
膀胱炎が長引くと、膀胱内に結石ができることがあります。
特に寝たきりの方に多くみられます。
結石の内部では細菌が増殖しやすく、尿の濁りや強いにおいが出ます。
結石の中には抗生剤が届きにくいため、手術が必要になります。
④長期尿道カテーテル留置
尿道カテーテルを長期間留置している場合、細菌が侵入しやすくなります。
さらに、カテーテル表面にはバイオフィルムと呼ばれる細菌の集合体が形成され、慢性的な感染の原因となります。この中には抗生剤が届きにくいため、尿の濁りやにおいが強くなった場合は、早めのカテーテル交換が必要になることがあります。
⑤糖尿病
「おしっこが甘いにおいがする」と聞くと、糖尿病を思い浮かべる方も多いでしょう。確かに、尿に糖が多く出れば甘いにおいがしそうな印象があります。
ここでいう尿糖の「糖」とは、ブドウ糖のことです。
一般に「糖」と聞くと砂糖(ショ糖)を思い浮かべがちですが、実際には少し異なります。砂糖(ショ糖)は体内で分解され、ブドウ糖と果糖になります。
ブドウ糖はそのままエネルギー源として利用され、果糖もそのまま、あるいは体内でブドウ糖に変換されてエネルギーとして使われます。
ところで、糖尿病は「インスリン」が不足したり、その働きが弱くなったりする病気です。インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞の中へ取り込み、エネルギーとして利用するために欠かせないホルモンです。この作用によって血糖値は下がります。
しかし、糖尿病ではインスリンの量や働きが不十分なため、ブドウ糖が細胞に取りこまれにくくなります。その結果、血液中にブドウ糖が増え、血糖値が高い状態が続くため尿中のブドウ糖が増加します(尿糖)。重症化すると、細胞は脂肪を分解してエネルギーを作ろうとし、その過程でケトン体が産生されます。ケトン体は果実のような甘酸っぱいにおいがするため、尿が甘いにおいになることがあります。なお、糖質制限中や激しい運動後にも、一時的に尿中ケトン体が陽性になることがあります。
⑥膀胱がん
がん細胞は壊れやすく、壊死した組織から腐敗臭が発生することがあります。膀胱内にがんがある場合、壊れた組織が尿に混ざり、においが強くなることがあります。この場合は、早急な検査と治療が必要です!
⑦飲食物・ビタミン剤・お薬→大きな問題ではない
ニンニクやニラを食べたあと、歯みがきをしても、口臭だけでなく汗やおしっこまでニンニクのようなにおいがする、そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。これは「アリシン」という成分が体内に吸収され、血液を通じて全身を巡り、呼気・汗・尿として排泄されるためです。口の中だけの問題ではないため、完全に防ぐのは難しいのです。そのほか、アスパラガス、アルコール、コーヒーなども、尿のにおいが変わる原因になることがあります。また、市販のビタミン剤を飲んだあとに、尿が鮮やかな黄色になり、独特のにおいを感じることがあります。これはビタミンB群が尿中に排泄されるためで、異常ではありません。そのほか、お薬でいうとビタミンB12製剤のメチコバールなども同様に、尿の色やにおいが変化することがあります。いずれも一時的なもので、体に悪い変化ではありません。
飲食物によるにおいはさほど問題ではありませんが、気になるようであれば水分摂取を増やし、食生活を見直すと改善することがあります。