• 2026年4月16日

おねしょが治らない

夜尿症とは?

おねしょ(夜尿症)は、生まれてから幼児期にかけてはごく自然にみられるものです。
多くの場合、成長とともに夜間の排尿をコントロールできるようになります。
未就学期、とくに5歳前後になると、「そろそろ治るのでは」とご両親が気にされ始めることが多くなります。医学的には、5歳を過ぎても、月に1回以上のおねしょが3か月以上続く場合を『夜尿症』と定義します。

では、おねしょが続くお子さまはどれくらいいるのでしょうか?夜尿症(おねしょ)は決して珍しいものではありません。一般的には、年齢とともに自然に減っていきます。

  • 5歳:6~7人に1人(約15%)
  • 小学校低学年(6~9歳):10人に1人(約10%)
  • 小学校高学年(10~12歳):20人に1人(約5%)
  • 中学生以上(13歳以上):50人に1人(約1~3%)

このように、小学校に入学してもおねしょが続くお子さまは一定数おられます。まれではありますが、成人しても続くケースが報告されています。
小学校に入ってもおねしょが続く場合や、「恥ずかしいので治したい」とお子さま自身が気にしている場合は、一度泌尿器科への受診をおすすめします。
この時期の夜尿症は、成長とともに自然に改善することも多いため、いきなり薬による治療を行うとは限りません。
まずは、

  • 生活習慣の見直し
  • 水分の取り方の工夫
  • 排尿習慣を整える行動療法

などから始め、体の発育を待ちながら改善を目指します。
こうした生活指導や行動療法を行うことで、自然に任せる場合に比べて2~3倍ほど治りやすくなるといわれています。

夜尿症の症状と原因

夜尿症の主な症状は、いわゆる「おねしょ」、つまり夜寝ている間に起こる「おもらし」です。ただし、夜間だけおもらしをする場合と、昼間起きているときにもおもらしがある場合では、原因が少し異なることがあります。そのため、症状の出方を詳しく確認することが大切です。夜尿症の原因としては、主に次の3つが考えられています。

  1. 夜間に尿が多く作られてしまうこと
  2. 膀胱が十分に尿をためられないこと
  3. 眠りが深く、膀胱に尿がたまっても尿意で目が覚めないこと

多くの場合、これらの要因が単独、あるいは複数組み合わさって夜尿症が起こります。

夜尿症の原因となる3つの要素の中でも、3.「眠りが深く、膀胱に尿がたまっても目が覚めないこと」は、多くの夜尿症のお子さまに共通してみられます。そのうえで、1. 夜間に尿が多く作られるタイプや、2. 膀胱に十分尿をためられないタイプなど、どの要素が強いかによって症状の出方が異なります。また、昼間にも尿もれ(おもらし)がみられる場合は、『遺尿症(いにょうしょう)』と呼ばれることがあります。
この場合は、2のように膀胱の働きが関係していることが多いとされています。

ただし、昼間のおもらしがある場合には、単なるおねしょではなく、ほかの病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。

夜尿症の診断と治療

◇診断

夜尿症の診察では、問診がとても重要なためおねしょの回数や、昼間のおもらしの有無などについて確認します。また、単なるおねしょなのか、あるいは他の病気が関係していないかを確認するために、必要に応じて尿検査(検尿)、腹部超音波検査(エコー)、身体診察などを行うことがあります。
これらはいずれも体への負担が少ない検査で、痛みを伴うものはほとんどありませんので、安心して受診してください。

◇治療

夜尿症の改善には、日常生活の見直し(生活指導)を行い、それでも改善がみられない場合はお薬などによる治療も検討します。

☆ 生活指導

  1. 昼間はしっかり水分をとり、夕方以降はとりすぎないようにします。特に幼稚園や学校から帰宅した後は、水分のとり方に注意します。
  2. 夕食の時間が遅くなりすぎないようにします。夕食を食べてから就寝まで、できれば2時間程度あけるようにしましょう。
  3. 塩分のとりすぎに注意します。
  4. 便秘にならないようにも注意し、尿意や便意があるときは我慢せずにトイレに行く習慣をつけます。
  5. 寝る前にはトイレに行く習慣をつけます。寝る前に1回、さらに布団に入る直前にもう一度トイレに行くと効果的なことがあります。
  6. 就寝中におねしょをしていないのに、夜中に無理に起こしてトイレに行かせない。
  7. おねしょをしても叱らないようにしましょう。反対に、おねしょをしなかったときには、しっかりほめてあげることが大切です。

これらの生活習慣をすでに実践している場合や、改善してもおねしょが続く場合には、おねしょアラーム(アラーム療法)やお薬などの治療を検討します。

☆おねしょアラーム

おねしょの背景には、「熟睡しているために排尿してしまったことに本人が気づかない」ということが多いとされています。
『おねしょアラーム』とは、寝る前にセンサー付きの専用パンツ(またはセンサー)を装着して寝て、もしおねしょでパンツがぬれた場合に、音やバイブレーションで知らせてくれる装置です。アラームが鳴ったら目を覚ましてトイレに行き、残りの尿を出します。お子さまが音で目を覚まさない場合は、保護者の方が起こしてトイレに連れていきます。
これを繰り返すことで、膀胱に尿がたまったときに目が覚める習慣がつきます。すぐに改善する治療ではありませんが、数か月(~1年ほど)でおねしょが改善することがあり、再発が少ないことも特徴とされています。

なお、『おねしょアラーム』による治療は、保険診療の対象外となっているため、機器はご家庭で購入していただくか、レンタルでご用意いただく必要がありますので、ご希望の際はお気軽にご相談ください。

☆お薬(薬物治療)

お薬は、夜間の水分摂取に気をつけていてもおねしょが続く場合に行われる治療で、原因に応じて大きく2つのタイプに分けて考えます。

①夜間に尿が多く作られすぎることが主な原因と考えられる場合には、夜間の尿量を減らす作用のあるお薬を使用することがあります。〇ミニリンメルト®(抗利尿ホルモン-デスモプレシン)という内服薬があります。

※抗利尿ホルモンは、体内で分泌されて尿の量を減らす働きをもつホルモンです。おねしょをするお子さまの多くは、夜間に尿の量が多くなる「夜間多尿」の状態   になっています。これは、夜間に抗利尿ホルモンの分泌が十分でないことが原因の場合があります。このような場合には、寝る前に抗利尿ホルモンを補う薬を使用することで、夜間に作られる尿の量を減らし、おねしょの改善が期待できます。

②一方、膀胱に十分に尿をためられないことが主な原因と考えられる場合には、膀胱の緊張をやわらげ、尿をためやすくするお薬を使用することがあります。〇抗コリン薬があります。この薬は、もともと「過活動膀胱」の治療に用いられる薬で、夜尿症では単独での効果は十分でないことが多いため、抗利尿ホルモンなどのお薬と組み合わせて使用することがあります。

最後に、『夜尿症』はあせらずに治療を続けていくことで、半年ほどで半数くらいのお子さまは改善するといわれています。一方で、治るまでに時間がかかるお子さまがいるのも事実です。お子さまとご家族の負担にならないよう、一緒に少しずつ取り組んでいきましょう!

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