- 2026年4月16日
睾丸が下りていない
睾丸(精巣)は母親のおなかの中で作られ、鼠径管(おなかと太ももの間を通る管)という通路を通って陰嚢へと降りてきます。生まれたときに精巣が陰嚢内に降りていない状態を『停留精巣』と呼びます。新生児ではおよそ約5%(20人に1人)に見られますが、1歳頃には約1.5%まで減少します。おおよそ、生後6か月までには自然に陰嚢内へ下降することが期待できます。
種類
精巣が両方とも陰嚢に触れない場合を「両側性」、片方だけ触れる場合を「片側性」といいます。精巣は下腹部や鼠径管、陰嚢の上部などにあることがあり、個人差があります。
診察で精巣が触れない場合は『非触知精巣』と呼び、鼠径管や腹腔内、あるいはもともと存在しない場合もあります。その他、『移動性精巣(遊走精巣)』という疾患概念もあり、これは陰嚢に下りてきた精巣が陰嚢と鼠径管の間を行き来する状態で、乳児や小児に多く見られます。
出生時に停留精巣と一緒に、陰茎が小さい(小陰茎)、尿道の出口が先端にない(尿道下裂)、鼠径部が膨らむ(鼠径ヘルニア)などがある場合は、お早めに小児泌尿器科を専門とする医療機関を受診しましょう。
停留精巣のからだへの影響
停留精巣は、「男性不妊症」や「精巣がん」のリスクを高める可能性があります。また、「精巣捻転」を起こしやすくなることもあります。停留精巣のこどもが将来こどもをつくる能力(妊孕性:にんようせい)は手術で治療しても片側で70~90%、両側で30~65%程度とされます。妊孕性の低下を防ぐことが可能で、専門医と相談しながら適切な時期に治療することが推奨されます。また、停留精巣は通常の陰嚢内精巣と比べて精巣がんのリスクが3〜4倍高いとされています。ただし、精巣がん自体は発生頻度が低く、陰嚢内に固定されれば早期発見・治療が可能です。停留精巣を放置すると、精索(血管や精管)がねじれる精索捻転や、外傷を受けやすいなどのリスクもあります。
検査と治療
・検査に関しては、腹部の超音波検査だけでは精巣の位置がはっきりしないことがあり、その場合はCTやMRIで確認します。それでも見つからない場合は、腹腔鏡という内視鏡を使ってお腹の中を直接見て判断することもあります。
・治療は、手術で精巣を陰嚢内に固定(精巣固定術)することが基本で、自然に降りる時期や将来の妊孕性を考えて、1歳前後~2歳頃までに行うのが望ましいとされています。精巣が触れない非触知精巣では、腹腔鏡を使った精巣固定術が行われますが、精巣が強く萎縮している場合は摘除術になることもあります。