• 2026年4月21日

性病が心配です!

性感染症(STD)とは、性行為によってうつる病気の総称で、性的な接触を通じて、皮膚や粘膜から細菌やウイルスなどが入り込むことで起こる病気です。性器同士の接触だけでなく、オーラルセックスや肛門性交によって感染することもあります。代表的なものには、クラミジア尿道炎や淋菌性尿道炎(淋病)といった尿道炎のほか、梅毒、尖圭コンジローマ、性器ヘルペスなどがあります。

症状としては、排尿時の痛みや膿、かゆみ、できもの(ぶつぶつ)などがみられることがあります。ただし、初期にはほとんど症状が出ないことも多く、気づかないまま感染が進行し広がってしまうことがあります。また、デリケートな部分に症状が出るため、受診をためらってしまう方もいらっしゃいますが、そのままにしてしまうと、自然に良くなることは少なく、かえって悪化してしまうこともあります。少しでも気になる症状がある場合は、どうぞ無理をせず、お早めにご相談ください。

当院は泌尿器科のため、主に男性の症状を中心に診療を行っております、パートナーの女性の方からのご相談も受け付けております。必要に応じて婦人科とも連携しながら、丁寧に対応いたします。

また、診察は個室で行い、プライバシーにも十分配慮しております。スタッフ一同、安心してご来院いただける環境づくりを大切にしておりますので、どうぞお気軽にお越しください!

  • 尿道炎(淋菌、クラミジア)

<症状>

尿道炎とは、細菌が外尿道口(陰茎の先端にある尿の排出口)から入り、尿道に感染することで尿道炎が起こります。性感染症が原因となることが多いですが、性行為以外にも、排尿の状態や免疫力の低下などがきっかけとなって発症することもあります。

原因となる菌としては、淋菌やクラミジアが代表的ですが、そのほかにも大腸菌などが関与することがあります。また、近年ではマイコプラズマ・ジェニタリウムによる感染も増えており、症状を引き起こす原因の一つとされています。

男性の主な症状としては、『排尿時に出口付近や奥の方がしみるように痛む』、『尿道に熱感を感じる』、『むずむずとした違和感(排尿時の不快感)』を感じることがあります。また、外尿道口から、『透明〜黄白色の分泌物(膿)』が出て、下着に付着することもあります。そのまま放置しておくと、精巣上体炎や前立腺炎を起こすこともあります

女性の場合は、尿道が数cmと短いため、細菌が尿道にとどまって感染を起こすことは比較的少なく、淋菌やクラミジアによる尿道炎は男性に比べてまれです。

そのため女性の場合、淋菌やクラミジアは主に膣や子宮頸管に感染することが多いとされていますが、これらの感染症は自覚症状がほとんどないことも珍しくありませんが、症状がある場合に関しては、おりものの増加や不正出血、下腹部の痛みなどがみられることがあります。そのまま放置してしまうと、骨盤内炎症性疾患(PID)や不妊の原因となることもあるため、注意が必要です。

<淋菌と非淋菌性(クラミジアなど)の違い>

 淋菌非淋菌性
主な原因菌淋菌クラミジア(半数程度)、 マイコプラズマ、大腸菌など
感染してから症状が出るまでの期間3-7日7-21日(1-3週間)
排尿時痛強い軽い
分泌物の性状うみ(膿性)さらさら、または、ねばりのある性状(漿液、粘液性)
無症状あまりないよくある

<検査・治療>

・検査

まず、問診票をご記入いただきます(いつからの症状か、最近の性交渉の状況、パートナーの症状など)。

次に尿検査(尿定性・尿沈渣)を行い、尿道炎の可能性があるかどうかを確認します。

尿道炎が疑われる場合には、原因となっている菌を詳しく調べます。淋菌やクラミジアに同時に感染(淋菌は約20〜30%の割合でクラミジア感染を合併する)していることもあるため、『核酸増幅検査(NAAT)』で淋菌・クラミジアの有無を調べます。また、大腸菌などの一般細菌を確認するために『尿培養検査』を行うこともあります。これらの検査は尿の検査のため非常に簡便です。これらの結果や症状から原因となる菌を推定し、抗菌薬による治療を開始します。

治療開始後は約1週間後に再度ご来院いただき、尿検査を行います。その際に症状の改善状況を確認し、NAATや尿培養検査の結果についてもご説明いたします。

治療開始から2〜3週間後に再度検査を行い、感染が陰性化しているかどうかを確認します。その結果を踏まえて、治療の継続や終了を判断いたします。

・治療

症状の程度や問診の内容から、原因となっている菌を推測し、最も効果が期待できる抗菌薬を選んで治療を行います。

尿道炎の中で最も多いクラミジア性尿道炎の場合は、内服のマクロライド系抗生物質ジスロマック®1000mg1回などによる治療が基本となります。

一方、淋菌尿道炎では近年、薬剤耐性化(細菌やウイルスなどの病原体が薬に対して抵抗力を持ち、治療薬が効きにくくなる現象)が問題となっていますが、第一選択薬としては抗生物質の点滴セフトリアキソン(ロセフィン®1g)または筋肉注射による抗生物質スペクチノマイシン(トロビシン®2g)が最も効果的で、多くの場合は1回の治療で改善が期待できます。

また、大腸菌などの一般細菌が原因の場合も、内服の抗生物質で治療を行います。この場合は、通常1週間程度の内服が必要となります。

  • 淋菌やクラミジアは、性行為(オーラルセックスを含む)によって感染する性感染症です。感染予防のためには、性行為の際にコンドームを正しく使用することが非常に重要です。また、のど(咽頭)も感染の原因となることがあるため、オーラルセックスによる感染リスクにも注意が必要です。さらに、一度感染しても再び感染する可能性があるため、再感染のリスクについても理解しておくことが重要です。治療後には、治癒検査(きちんと治っているかを確認する検査)を受けることをおすすめしています。適切な抗生物質を使用しても、耐性菌の影響で、1回の治療だけでは完全に治らない場合もあります。そのため、症状が改善した場合でも、しっかりと治癒を確認することがとても大切です!
  • 梅毒

梅毒は、性行為やオーラルセックス、アナルセックス、キスなどの性的接触によって感染する性感染症の一つです。原因は梅毒を引き起こす『梅毒トレポネーマ』という細菌です。近年、日本では梅毒の感染者数が大きく増加しており、2023年には約1万5000人と過去最多を記録しました。その後も高い水準が続き、2024年は約1万4000人台、さらに2025年も約1万3000人以上と高止まりの状況が続いています。特に都市部(東京、大阪)を中心に感染が広がり、若年層だけでなく中高年層にも拡大している点が特徴です。梅毒トレポネーマは、皮膚や粘膜の小さな傷口から体内に侵入し、数時間以内にリンパや血液の流れに乗って全身へ広がります。感染すると、10〜90日ほどの潜伏期間の後に症状が現れます。初期には感染部位にしこりや潰瘍ができ、その後いったん症状が消えることもありますが、治癒したわけではありません。治療を受けないまま進行すると、発疹やリンパ節の腫れなど全身症状が現れ、さらに進行すると神経や心血管系に障害が及ぶこともあります。また、妊娠中の感染により胎児へうつる先天梅毒も問題となっており、重い後遺症や死産の原因になることがあります。梅毒は症状が多様で一時的に消えることもあるため見逃されやすく、「偽装の達人」とも呼ばれます。そのため、早期検査と適切な治療、そして予防行動(コンドームの使用や定期的な検査)が重要です。

<症状>

梅毒 の進行は、潜伏期間(感染してから症状が現れるまでの期間)を経て、第1期〜第3期に分けられます。

Ⅰ. 梅毒1期(感染後約1か月)
・性器など感染部位に、軟骨のように硬いしこり(初期硬結)ができる
・その表面に浅い潰瘍(硬性下疳)が生じる
・首や鼠径部(そけい部)のリンパ節が腫れる

これらの症状は痛みやかゆみがないことが多く、2〜3週間ほどで自然に消えるため見逃されやすいのが特徴です。この時期は感染力が強く、気づかないうちに他者へ感染を広げてしまうことがあります。

Ⅱ. 梅毒2期(感染後約3か月)
・手のひらや足の裏を含む全身に、薄いピンク色の発疹(梅毒性バラ疹)が現れる
・性器周辺にいぼ状の病変(扁平コンジローマ)ができ、分泌物から感染することがある
・扁桃の潰瘍やただれ(梅毒性アンギーナ)
・脱毛
・発熱、倦怠感、食欲不振などの全身症状

この段階では、菌が血流に乗って全身へ広がり、多様な皮膚症状や風邪のような症状がみられます。放置しても一時的に症状は消えますが、再発を繰り返しながら進行することがあります。

Ⅲ. 梅毒3期(晩期梅毒)
数年から数十年の無症状期間(潜伏期)の後に発症します。

・ゴムのような弾力をもつしこり(ゴム腫)が皮膚や臓器にできる
・大動脈瘤などの循環器障害
・髄膜炎や神経障害(麻痺など)

この段階まで進行すると、生命に関わる重篤な状態になることもあります。

<検査>

診断は、血液検査(RPR法・TPHA法)によって行います。結果が陽性と確認された場合には治療を開始します。ただし、感染初期の段階では血液検査が陰性となる場合もあるため、初期硬結や硬性下疳などの特徴的な病変が視診で確認された場合には、梅毒を疑い、検査結果を待たずに治療を開始することがあります。本邦では、HIV感染症 との重複感染が多く報告されているため、梅毒が陽性であった場合には、相談のうえHIVの血液検査もあわせて行います。また、梅毒患者の約20%に他の性感染症の合併がみられるとされており、症状に応じて淋菌やクラミジアなどの検査も実施します。

<治療>

梅毒は、病期(ステージ)によって治療期間が異なり、進行するほど治療に時間がかかる傾向があります。そのため、早期発見・治療が非常に重要です。「恥ずかしいから」と決して放置せず、気になることがあればお気軽にご相談ください!実際、勤務医時代に診断をつけ、治療開始も再診になると来院されなくなったケースもありましたので、くれぐれも放置だけはしないようによろしくお願いします。

治療に関しては、梅毒と診断された場合は、抗生物質による治療を行います。ペニシリン系の抗生物質が有効です。ペニシリンにアレルギーがある場合でも、他の有効な抗菌薬で治療が可能です。ごく初期であれば約2〜4週間、早期の段階であれば約4〜8週間の投与と必要となります。治療開始後、1週間前後で発熱がみられることがありますが、これは治療に対する反応であり、薬が効いているサインの一つですので、自己判断で中断せず内服を継続してください。また、抗生物質の服用が終了しても血液検査の数値はすぐには正常化しません。そのため、治療が終了しても、再発や治癒判定のために定期的な採血フォローが必要です(通常は数か月〜約1年程度)。

  • 梅毒によって現れる陰部・口・全身の皮疹は種類が多く、見た目だけで判断することが難しい場合があります。また、皮疹は一度出現しても、しばらくすると自然に消えてしまうことがあり、そのため受診が遅れがちですが、病気が治ったわけではありません。進行すると抗生物質による治療期間が長くなるほか、放置することで重い合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。早期発見・早期治療を行えば治癒が期待できる病気のため、症状に心当たりがある場合はできるだけ早く医療機関を受診することが大切です。
  • 尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマ は、性行為(オーラルセックスを含む)によって感染する性感染症の一つです。陰茎、陰嚢、肛門やその周囲、膣壁、尿道口などの皮膚や粘膜に、ヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することでイボが形成されます。ヒトパピローマウイルスには多くの型がありますが、尖圭コンジローマの主な原因となるのはHPV6型および11型とされています。潜伏期間は数週間から数か月とされており、その後に症状が現れます。実際は、感染時期がはっきりしないケースも少なくありません。イボは肌色から薄い茶色で、初期は非常に小さいものの、徐々に先が尖った形(尖圭)となり、やがてカリフラワー状に増大することがあります。尖圭コンジローマは20代の男女に多くみられる性感染症の一つですが、まれに悪性化する可能性もあるため注意が必要です。

<治療>

治療に関しては、主に外用薬による治療、病変部の外科的切除があります。

・外用薬→イミキモド5%クリーム(ベセルナ®クリーム)を週3回、1日おき(月・水・金など)に塗布し、6〜10時間後に洗い流します(就寝前に塗るのが一般的で、朝に石けんとぬるま湯で洗浄)。治療期間は3〜4か月程度かかることがあります。

・外科的切除→局所麻酔下でイボを切除します、痛みや瘢痕(傷跡)が残る可能性があり、肉眼的に取り除いても、目に見えない部分に残っているウイルスによって再発することがあり、そのため治療を繰り返す必要が生じる場合があります。

その他、レーザーによる蒸散や液体窒素による凍結治療などがあり、症状や部位に応じて選択されます。

ただし、治療後3か月以内に再発するケースはおよそ20〜30%、さらに1年以内では30〜50%程度の再発が見られるとされていますので、治療後に関しても受診が必要です。

尚、予防にはHPVワクチン(ガーダシル®)があり、HPV6型と11型の両方をカバーしていますので、男女ともに接種が推奨されております。

● 性器ヘルペス

性器ヘルペス は、単純ヘルペスウイルスの感染によって起こる性感染症です。主に性行為や皮膚同士の接触を通じて感染し、年齢に関係なく発症する可能性があります。原因となるウイルスにはヒトヘルペスウイルス1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があり、それぞれ潜伏する部位と症状の出方が異なります。HSV-1は主に三叉神経節に潜伏し、口唇ヘルペスとして再発を繰り返します。また、口唇に症状がある状態でオーラルセックスを行うと、性器へ感染することもあります。HSV-2は主に腰仙髄神経節に潜伏し、性器に症状を繰り返すのが特徴です。感染すると、性器やその周囲にピリピリとした痛みを伴う小さな水ぶくれやただれが出現します。初めて感染した場合は症状が強く、発熱や排尿時の痛みを伴うこともあります。一方、再発時は比較的軽い症状で済むことが多いものの、疲労やストレスなどをきっかけに繰り返すことがあります。したがって、このウイルスは一度感染すると体内に潜伏し続け、完全に排除することが難しく、多くの人が生涯のうちに感染するとされています。さらに、症状が現れていない場合でもウイルスが排出されることがあり、その状態でもパートナーへ感染する可能性があるため、感染拡大の要因となっています。

<症状>

感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は2~10日で、初感染のほうが重症になりやすい。外陰部の水ぶくれ・潰瘍、痛み、排尿時痛、発熱、鼠径部(足の付け根)のリンパ節の腫れなどがみられ、女性はより男性に比べて症状が重く出る傾向があります

症状は無治療でも2~3週間程度でおさまりますが、ウイルスは体内に残っているために再発を繰り返す場合があります。

<診断・治療>

・診断
視診(水ぶくれや潰瘍などの特徴的な皮膚症状)や問診で痛みの程度の確認に加え、必要に応じて、PCR検査や血液検査などを用いて行います。

・治療

抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなど)が有効です。多くの場合は内服薬で治療しますが、症状が重い場合には点滴が選択されることもあります。

  • 性器ヘルペスにかかったことがあると、「パートナーにうつしてしまうのでは?」と心配になる方もいらっしゃいます。ただ、このウイルスはとても身近なもので、多くの人がすでに感染している可能性があります。また、感染しても必ずしも同じような症状が出るとは限りません。そのため、「うつしてしまうかもしれない」と考えすぎて、不安になりすぎる必要はありません。とはいえ、気になる場合は、症状が出ているときは性行為を控えるなど、できる範囲で気をつけると安心です。あまり思いつめずに、無理のないかたちで向き合っていくのが良いと考えております!
  • トリコモナス症

近年の日本では性感染症は減少傾向にありますが、中高年層を中心に散発的にみられることがあります。トリコモナス症は、トリコモナス原虫という寄生虫が性的接触によって性器内に侵入し、炎症を引き起こす感染症です。性的接触だけでなく、下着やタオル、便座、浴槽などを介して感染する可能性もあるため、日常生活においても注意が必要です。男性では排尿によって体外に排出されやすいため無症状のことが多い一方、尿道や前立腺に長期間感染が持続することがあり、知らないうちにパートナーへ感染させてしまう可能性があります。女性のほうが男性より症状が出やすく、女性に症状が出た場合は『膣トリコモナス症』とも呼ばれます。この場合、パートナーも感染している可能性があるため、同時に治療することが重要です。

<症状>

感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は10日〜6ヶ月程度です。

♂男性

多くは無症状ですが、以下のような軽い症状がみられることがあります。

・排尿時痛

・頻尿

・尿道分泌物

といった尿道炎症状で、まれに、前立腺炎や精巣上体炎を引き起こすことがあります。

♀女性

概ね20~50%は無症状ですが、その1/3は症状が出る場合、6か月以内に現れます。症状は男性より強い傾向があり、さまざまな症状があります。おりものの状態には個人差があります。これは、トリコモナスだけでなく他の細菌も関係しているためです。通常、膣内は乳酸菌(デーデルライン桿菌)によって酸性に保たれ、感染を防いでいます。しかしトリコモナスが乳酸菌の栄養(グリコーゲン)を使うことでバランスが崩れ、さまざまな症状が出てきます。以下のような症状があげられます。

・泡状の悪臭の強い、生臭いにおいのおりもの

・膣掻痒感(かゆみ)

・外陰部の痛み

・性交時の痛み

<検査・治療>

  • 検査

① 顕微鏡検査(鏡検)

② 核酸増幅検査 (NAAT)

③ 培養検査(♀女性;おりもの(膣分泌物)、♂男性;尿、または尿道分泌物 )

  • 治療

治療抗原虫薬であるメトロニダゾール(フラジール®)を使用します。

以下のいずれかの方法で内服します:

・500mgを1日2回7日間内服、膣錠(フラジール®膣錠)必要に応じて内服薬と併用

・2gを1回内服(男性はとくに有用)

・パートナーの治療が必須

男性は無症状のことが多いため、感染者のパートナーは症状がなくても治療が必要です。

治療中の飲酒は厳禁→ 吐き気・嘔吐などの副作用が出やすくなりますので、注意してください!

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