• 2026年4月15日
  • 2026年4月16日

骨盤臓器脱について

股の違和感や「何かが出ている感じ」でお悩みの方へ

このような症状がある場合、『骨盤臓器脱』の可能性があります。 女性特有の病気で、加齢とともに増える非常にポピュラーな疾患です。「恥ずかしくて誰にも言えない」と一人で悩まず、まずは当院へご相談ください。

1.骨盤臓器脱とは

骨盤内にある臓器(膀胱、子宮、直腸など)を支えている筋肉や靱帯(骨盤底筋群)が、ハンモックのような役割を果たせなくなり、臓器が腟の方へ下がってくる状態を指します。

  • 原因: 出産によるダメージ、加齢による筋肉の衰え、肥満、閉経後のホルモン変化などが主な原因です。
  • リスク: 重症化すると、臓器が体外にまで脱出してしまい、歩行困難や粘膜のただれを引き起こすこともあります。

2. 代表的な種類と症状

下がる臓器の場所によって、現れる症状が異なります。

種類特徴と主な症状
膀胱瘤膀胱が下がり、腟の前側を押し出す状態。日本人女性に最も多く、頻尿や尿漏れを伴います。
子宮脱子宮が腟を通って下がってくる状態。進行すると股の間に異物感があり、重症化すると歩行に支障が出ます。
直腸瘤直腸が下がり、腟の後ろ側を押し出す状態。便が出にくくなり、指で腟壁を押さないと排便できない方もいます。
膣脱子宮を摘出した後などに、腟そのものが裏返るように下がってくる状態。

3. 診断・検査のながれ

①問診

まずは詳しいお話を伺います。緊張してうまく伝えられるか不安な方は、以下の項目を事前にメモしてお持ちいただくと、診察がスムーズに進みます。

  • 症状: いつ頃から、どのような違和感があるか
  • 背景: 妊娠・出産の経験、これまでの病歴(既往歴)、現在のお仕事の内容
  • 生活習慣: 便秘の有無、重いものを持つ習慣、コルセットの使用など
  • お薬: 現在服用中のお薬(お薬手帳など)

②専門的な検査

原因と重症度をしっかり見極めるため、いくつかの検査を組み合わせて行います。

  • 内診:どの臓器が、どれくらい(何cmほど)下がっているかを確認します
  • ストレステスト:咳をしたり、お腹に力を入れていただいたりして、臓器の動きや尿漏れの有無を詳しく調べます。
  • 尿検査:血尿の有無や、膀胱炎などの炎症が起きていないかを調べます。
  • 残尿測定:排尿した後に、膀胱の中にどれくらい尿が残っているかを測定します。臓器脱による排尿トラブルの程度を確認します。
  • 腹部超音波(エコー)検査:臓器が下がることによって尿の通り道が引っ張られ、腎臓に負担がかかっていないか(水腎症の有無など)をチェックします。
  • MRI検査:断面画像によって、脱出の部位や程度を立体的に確認します。また、骨盤内に他の病気が隠れていないかもあわせて調査します。

4. 治療の進め方

骨盤臓器脱は、命に関わる緊急の病気ではありません。患者さまの生活スタイルや希望に合わせて、負担の少ない方法から検討します。

① 保存的治療(まずはここから)

  • 骨盤底筋体操:緩んだ筋肉を鍛え、臓器を支える力を取り戻します。
  • 装具(ペッサリーなど):ペッサリーというリングを膣内にいれて臓器が下がってこないようにする方法で、根本的に治す治療ではなく対症療法になります。

② 手術療法

保存的治療で改善しない場合や、日常生活に大きな支障がある場合は手術を検討します。ただし、再発のリスクや尿もれが悪化するなどの短所もありますので、手術を行うかは慎重な判断が必要です。

  • TVM手術:メッシュ素材を用い下がった臓器をハンモックのように吊り上げます。
  • 腹腔鏡下手術(LSC・RSC): 小さな傷口から腹腔鏡やロボット(ダビンチ)を用いて、仙骨に腟を固定します。再発率が低く、体への負担が少ないのが特徴です。

骨盤臓器脱は、適切な診断と治療で、これまでの快適な生活を取り戻せる病気です。
排尿や排便のトラブルもあわせて、当院へお気軽にご相談ください!

腎・泌尿器科 岡村医院 06-6718-7848 ホームページ